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【OPPOSITE ATTRACTION Pandora's Box】

 

「物語」とは縁遠い、「直感」じみた何か

フィクションとノンフィクションはスペクトラムで「現実」とは永遠に平行線をたどるように

描いた絵画は「現実」の一部であってほしい

もしくは「現実」に対する漸近線としての絵画

「窓」のように、現実でありながら内と外を別つだけの存在であってもつまらない

まるで危険なものでもあるかのように「額縁」をあてがわれるような存在のほうがまだいい

 

Opposite Attraction = 相対するもの同士が引き合う

これは「赤」と「青」に込めた「願い」

もう少し望めるなら「祈り」

実際にはスペクトラムとしての「紫」が存在するとしても、それは偶然であり必然

その代わりに「白」「黒」「トランスペアレント・ゴールド・オキサイド」で二元論からの脱却を試みる

 

 

DMのメインビジュアルになっている作品《OPPOSITE ATTRACTION Pandora’s Box》はギリシャ神話の「パンドラの箱」の物語がモチーフになっています。開けてはならない箱を開けてしまい、様々な災いが放たれてしまうのですが、最後に「希望」が箱の中に残ったとされています。絵の中では沢山のハートが放たれて、最後に残ったものとして、中央に心臓のカタチを微かに描いています。ハート=愛は、無くてはならないもの、大事なものであると同時に、迷いを生むこともあるものだと思います。

 

今回の展覧会では《OPPOSITE ATTRACTION Pandora’s Box Project》として、100個のカタチを作り、0号の絵画100点(#1-#100)と100号の絵画1点を関連づけて制作しています。これも「パンドラの箱」がモチーフとなっていて、ハートのカタチから始まり(#1)、最後に箱の中に残った「希望」として心臓のカタチで終わっています(#100)。「希望」としての最後の1枚を白黒のモノクロームにしているのは、「色即是空、空即是色」と言われるように、色彩が物質的現象であるとすれば、本質はモノクロームなのではないかという思いと、一方で、ハートに対する心臓というのは、実在、実存と関係しているような気がして、その相反する予感を込めました。

#1-#100では、一つの絵画に一つのカタチを用いて描いています。それに対して100号の絵画では100個のカタチを集合させています。ハートと、様々なカタチと、そして心臓のカタチ。絵の中を彷徨って、楽しんでもらえたら嬉しいです。

2022.6.22 坂口 裕美

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